地盤改良技術には、対象とする現場条件や要求する効果の多様化により、用途に応じた技術を選択していくことや技術を選択する幅の拡大が一層求められる。例えば、既設構造物直下の地盤の補修・補強、地盤や土工構造物のメンテナンスとしての局所的・集中的な改良に対応しやすい技術、環境に配慮した技術などが今後求められると考えられる。
こうした目的に対応し得る技術として期待されることから、地盤工学と生物学や化学を融合させた地盤改良技術について研究活動が活発化している。国内においては、2010年より毎年、国立研究開発法人・土木研究所主催の「次世代地盤改良技術に関するワークショップ」が開催され、大学・研究所・民間企業等から多数の研究者、技術者が参加して、研究について意見交換を行うに至っている。海外でも、欧米やアジア諸国等の多くの研究者が取り組みを続け、技術の可能性を示唆する知見が積み重ねられてきている。今後、これらの成果が実用に至るには、目的の効果やそのための条件を安定的に得る方法、環境安全性の確認方法、既存技術に対して有利な点などが明らかにされることが必要と考えられる。
そこで、標記研究委員会では、①地盤工学と生物学や化学を融合させた地盤改良技術の実用を想定した技術指針案の作成、②国内外における研究開発の動向や現状技術の課題・展望についての整理・分析を並行して行い、実用化に向けた足がかりを得ることを目指す。活動期間は3年を想定している。取り組みに際しては、自然的・社会的な各種条件を踏まえた対応、そのための多角的な検討が求められるため、全国から関連分野に興味・関心のある産官学の研究者、技術者が集まり、縦断的・横断的な情報交換を行って進めるのが望ましい。各種の知識と経験、研究成果を集約しながら進めていくことで、国内における研究成果の蓄積の加速化、異分野融合の研究学問分野の確立、学術・技術の面における国際的競争力の向上につながることも期待される。
[活動期間: 2017(平成29)年度-2019(令和元)年度]
2017年6月15日版
会務 | 氏名 | 所属 | |
1 | 委員長 | 中野 晶子 | 九州大学大学院農学研究院 |
2 | 幹事長 | 稲垣 由紀子 | 国立研究開発法人 土木研究所 |
3 | 幹事 | 佐藤 厚子 | 寒地土木研究所 |
4 | 委員 | 青木 園子 | 日特建設株式会社 |
5 | 委員 | 伊藤 圭二郎 | 鹿島建設株式会社 |
6 | 委員 | 打木 弘一 | 基礎地盤コンサルタンツ株式会社 |
7 | 委員 | 川崎 了 | 北海道大学 |
8 | 委員 | 須江 まゆ | 前田建設工業株式会社 |
9 | 委員 | 鈴木 亮彦 | 株式会社 不動テトラ |
10 | 委員 | 中澤 博志 | 国立研究開発法人 防災科学技術研究所 |
11 | 委員 | 畠 俊郎 | 富山県立大学 |
12 | 委員 | 林 和幸 | 和歌山工業高等専門学校 |