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現場レポート3 首都高速道路横浜環状北線建設工事

1.はじめに

 現場レポート第3弾として、学会職員と広報委員会メンバーが首都高速道路横浜環状北線建設工事のうちシールドトンネル区間(大林・奥村・西武JV)を取材しました。
 横浜環状北線は、第三京浜道路「港北インターチェンジ」と首都高速道路「生麦ジャンクション」をつなぐ延長約8.2kmの自動車専用道路で、全路線延長の約7割がトンネル構造となっています。また、トンネルの大部分を民地の地下に建設することが特徴で、土地の使用にあたっては区分地上権を設定し、用地を取得しています。
 トンネルは外回り(港北→生麦)と内回り(生麦→港北)の2本があり、2台の巨大なシールドマシン(泥土圧式)で同時に掘削が行われています。トンネル断面は外径12.3mの円形で、シールドマシンで土砂を掘削・搬出したあとに、厚さ40cm、幅2m、円周方向を9個に分割したセグメントを組み立ててトンネルの壁をつくります。

 

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横浜環状北線 計画概要図 (首都高速道路HPより)

 

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左が外回り(生麦行き)、右が内回り(港北行き)

 

 

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2台のシールドマシン(左)と鉄筋コンクリート製セグメント組み立て図(右) (首都高速道路HPより)

 

 

 

2.取材の内容

 現場取材に先立ち、当プロジェクトのPRルーム「きたせんInfo.Plaza」にて、首都高神奈川建設局の金子さんに工事の概要を説明して頂きました。そのあと、ヘルメットと雨ガッパ(取材当日はあいにくの雨)を着用し、いよいよ現場取材の開始です。 

 

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雨の中、シールドトンネル現場へ移動

 

 はじめに、シールドマシンを組立て、掘削を開始する場所である発進立坑に向かいました。地下30mまで昇降階段で降り、トンネルの入り口に到着しました。
 トンネル入り口付近では、既に鉄筋コンクリート製セグメントで覆われたトンネルが奥深くまで続いていました。トンネル内の汚れた空気を換気するための工事用換気配管がトンネル断面の上部に設置してあります。また、切羽で掘削した土砂を排出するためのベルトコンベアがトンネル断面の側部に設置してあり、立坑を通じて地上に排出されます。さらに地上に排出された土砂は、立坑から鶴見川の対岸にある残土ストックヤードにベルトコンベアで運搬され、最終的には海岸部の埋立て事業の土砂受入れ場所までダンプトラックで運搬します。 

 

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トンネル入り口正面から

   

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  上側が工事用換気配管、右側が土砂搬出用ベルトコンベア

 

 

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  立坑の土留めは、大きな厚さの鉄筋コンクリートの梁で支保されています。これは、立坑内部で巨大なシールドマシンを組立てるための大きな空間を確保するためです。 

 

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上側に見えるのが鉄筋コンクリート製の支保工 

 

 視点を変えると、トンネル下部の空間を見ることができました。トンネル断面は床スラブにより上下2段の空間に分けられ、トンネルが完成すると上部は車両の通行、下部は火災など緊急時の避難のために使われます。

  

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 上部が車両の通行、下部が緊急時の避難などに使われる

 

 

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 トンネル内を進んでいくと、ある一部の区間が鋼製セグメントで覆われていました。ここはちょうど換気所を建設するための立坑工事が行われている場所で、立坑内部を地上から掘削し、シールドトンネルとつながるときにセグメントの撤去を容易にするために鋼製が使われています。この取材の日には、掘削中の立坑内から鋼製セグメントが既に見えていたそうです。 

  

 残念ながらこの取材の時間にはトンネル作業が行われていなかったこともあり、切羽のシールドマシンを見ることはできませんでした。

 

 

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 手前の茶色いセグメントが鋼製、奥側の白色のセグメントが鉄筋コンクリート製

  

  シールドトンネルの現場を見たあとは地上に移動し、立坑の上部にある材料の仮置きヤードを見せていただきました。仮置ヤードは防音ハウスで覆われており、周辺環境に配慮した施工を行っています。
 仮置ヤードには製作工場から運搬された覆工用セグメント、床スラブ材が保管されています。ヤードの広さに限りがあるので、工事の進捗に合わせた数の材料が搬入されます。さらにこれらの材料は天井の移動式クレーンにより、地上からトンネル入り口まで運搬されます。

 

 

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仮置ヤードを覆う防音ハウス

 

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 鉄筋コンクリート製セグメント 

 

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プレストレストコンクリート製床スラブ

  

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 移動式クレーンにより、材料を地上からトンネル入り口まで降ろす

 

3.現場レポート 

3.1  N.M職員

 工事現場は横浜市営地下鉄北新横浜駅から歩いて10分くらいの鶴見川に近い住宅街のはずれにありました。当日は雨模様で地図を頼りにトボトボ歩いて現場に行きました。
首都高速道路の現場と聞いていたのですが、現場近くに行ってもどこに高速道路があるのかまったくわかりませんでした。なんと高速道路は、民地の直下(地下)にありました。
民家の下にトンネルを掘る?工事の騒音で住んでいる人は大変なのでは?と思いました。しかしながら今回の現場はとても静かで今までの工事現場のイメージと、まったく違っていました。特に、土砂を運び出すトラックや自動車が少ないことが不思議でした。現場を見ながら首都高速道路の担当の方にお聞きしたところ、掘り出した土砂は地下からベルトコンベアで地上に運び出しているとのことでした。しかも、今回足を踏み入れた立坑側は、民家が多く道路が狭いためトラック等は出来る限り住宅街を通らないようにして、道路が広くしかも民家が少ない鶴見川の対岸までベルトコンベアで土砂を運び出し、そこでダンプトラックに載せているとのことでした。住民や周辺の環境に配慮した、優しい工事現場だと思いました。工事の騒音については掘削現場が最大で地下約60メートル深くにあり、地上への掘削の影響は少ないとのことでした。また、完成後も人がほとんど感じない程度のものだそうです。
この現場は、ほぼ24時間の体制でシールド機の掘進作業を行っています。そんな厳しい現場ですが、女性の職員の方も複数働いているとお聞きしました。同性としてとても頼もしいと思いました。 

 

3.2  N.C職員
 横浜環状北線シールドトンネル工事の現場取材に参加させていただきました。あいにくの悪天候ではありましたが、取材場所が屋内でしたので特に問題はありませんでした。しかしながら工事現場に出入りする際、雨に濡れた仮設階段を昇り降りするのは少々怖かったです。手すりをしっかり握りしめながらでないと降りることができませんでしたので、現地で支給していただいた軍手がとても役に立ちました。もっとも現場のみなさんは慣れた様子でサッサッと昇り降りしていらっしゃいましたが…。悪天候だからといって作業を休むわけにいかないでしょうから、現場の方々は毎日大変だなぁと思いました。
 当日は現場取材の前に、トンネル工事の特徴を説明していただきました。専門知識を持たない私はトンネルを作り上げる仕組みを全くわかっていないので、実物を見る前に説明を受けることができて良かったです。
 説明を受けるまでは、トンネル掘削にはその辺の工事現場でもよく見かける重機を使用しているのかと思っていたのですが、大間違いでした。1台あたり約2,000トンもの重さのあるシールドマシン2台をつかって掘削作業をしているのだそうです。2台には一般公募によって決まった「コッピー」と「ナッピー」という愛称が付けられているそうなので、見た目はごつい機械ながらもその働きをなんだか応援したくなります。残念ながら稼働中であるシールドマシンの実物を見ることはできなかったのですが、写真やパンフレットを見せていただいてその桁違いの大きさが把握できました。本音を言えばシールドマシンが動いているところが見たかったですが、さすがにそれは危険なのでしょう。でも500個ものカッタービットがついたマシンが土を削る様子ってどんなものなのでしょうね。大変気になりました。
 それにしてもシールドマシンというのは良くできているなと感心しました。ただ地中を掘るだけではなく、掘って出た土砂の搬出からトンネル外壁を作るところまで、やりのけてしまうからです。優秀です。さながら可動式の一つの工場のようだと思いました。
 さて、実際現場で見ることができたのは主にトンネル外壁でしたが、私はセグメント(壁部材)に大変興味を持ちました。セグメントはスチールファイバーを混ぜてひび割れを防ぎ、ポリプロピレンを練りこんで耐火性を上げているそうで、万が一起こりうるトンネル火災時にもトンネルが壊れないようにするために様々な工夫を凝らしていることを知りました。そしてトンネル外壁はセグメントをつなぎ合わせて筒状にしているということも初めて知りました。自分のイメージだとカマボコ型のコンクリート部材を地盤にはめ込んでいるのだと思っていたのですが、そんな単純なものではないのですね。9つのセグメントをボルト締めせず組み立てて筒状にし、それをさらに繋ぎ合わせてトンネル壁にしているそうなのですが、実にきれいに組み合わさっているので感心しました。どうやってくっついているのかが気になって仕方なく、現地では壁ばかりじっと見入ってしまいました。
 今回、工事現場を実際に見ることができてとても楽しかったです。本来であれば関係者でないと立ち入ることができない未知の世界に立ち入らせていただけたことに感謝しています。現在、横浜環状北線は半分位(馬場換気所予定地あたり)まで掘り進めているそうです。普段は車に乗りつけない私ですが、この環状線が完成したあかつきには是非現場を訪ね、「あの時見た取材場所はこのあたりだったかな」等と思いを馳せてみたいと思いました。  

                                            

4.おわりに 

 現場を案内してくださった首都高速道路㈱神奈川建設局の金子さん,平さん,(財)首都高速道路技術センターの鈴木さんをはじめ,今回の取材に協力してくださったすべての工事関係者の方々に厚く御礼申し上げます。横浜環状北線が無事に完成することを願っております。 

 

 

(文責:中央開発㈱ 今村雅弘、㈱大林組 照井太一) 

 

 

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