Home
年頭の挨拶 2014
sueoka

第32代会長 末岡 徹

 新年おめでとうございます。
2014年の新しい年を迎えるに当たり,会員の皆様に年頭のご挨拶を申し上げます

 

 私は,会長に就任するに当たり,3つの事を重点項目として挙げさせていただき,皆様にお願い致しました。
まずその経過と今後の見通しについてご報告致します。

 (1)強固で健全な財政基盤の確立
 岩崎公俊理事を中心に中長期財政検討委員会を組織し,収入・支出両面から財政健全化に寄与する項目を挙げ実行しつつあります。
学会は,財政面でここ数年数千万円の赤字が続いていましたが,現在,3年間で赤字実質ゼロを目標に体質改善に取り組んでおり、2013年度は約2000万円の改善計画をクリアできる見込みです。
そして2年目の2014年度は,さらに1000万円の改善を目ざしています。
ただ単に経費を削減するだけでなく,収入増加策としての広告収入の増加,具体的な寄付制度の拡充,魅力ある講習会の企画と参加者の増加,正会員数減少食い止め等について具体的な行動を開始しています。

 (2)住宅・宅地を含む地盤災害・防災に関する積極的な活動と社会・国際貢献
 2011年3月の東日本大震災においては地盤の液状化や造成宅地の崩壊で膨大な数の住宅に被害が発生しました。
これらの状況に鑑み,地盤工学会は日本建築学会,全国地質調査業協会連合会,土木学会,建設コンサルタンツ協会,(NPO)住宅地盤品質協会,地盤保証検査協会の関係7団体と2013年2月地盤品質判定士協議会(JAGE)を立ち上げ,昨年9月,1300余名の方が地盤品質判定士試験を受験し,11月には合格者を発表しました。
本資格制度については,NHKニュースでも取り上げられ社会的な関心を得ることができましたが,資格制度の確立と社会への浸透に向けてここ2~3年の地道な努力と戦略的な活動が重要です。
一方研究分野に目を移すと,地盤変状メカニズム研究委員会(浅岡顕委員長),土構造物耐震化研究委員会(龍岡文夫委員長),地盤構造物耐津波化研究委員会(菊池喜昭委員長),地盤環境研究委員会(勝見武委員長)の4つの会長特別研究委員会が2014年5月に,合同シンポジウムを開催する運びになりました。
また,本分野の活動は,単に国内に留まりません。2013年9月のパリ国際会議で,村上章S&F編集委員長を中心に東日本大震災特集DVDの広報活動を行い,10月の日韓地盤工学ワークショップでは,地盤品質判定士の資格制度も含めて紹介致しました。

 (3)各支部にある地盤工学遺産の把握と技術検証・評価及び発信
 本分野については,当初から各支部の自主的な努力・活動を期待しましたが,関東支部・関西支部・ATC19等の皆様のご尽力により,活動が盛り上がってきました。
すなわち,2014年2月大阪で「地盤遺産シンポジウム」を開催することになり,満濃池,狭山池,古墳,土塔や関東の江戸時代以降の近代遺産,さらに台湾成功大学李徳河教授による八田與一・烏山頭水庫の地盤工学的知見も入れた国際的なシンポジウム開催が予定されています。
また2014年10月には,関東支部で土木史跡の地盤工学的分析・評価に関する研究委員会(正垣孝晴委員長)が,「江戸時代以降・明治の地盤工学遺産」についてシンポジウムを開催する予定であり,地盤遺産の分野が会員及び一般の方々にも親しみのあるものになりつつあります。

 

 以上が3つの分野の主な活動ですが,課題として残り今後解決しなければならない項目も多くあります。地盤工学会の財政健全化は道半ばであり,地盤品質判定士制度は,これから資格活用を含めた制度の確立と充実が必要です。
また,学会運営においてもさらなる理事・事務局一体となった改革・活動が求められています。


 次に2013年の多くの特筆すべき活動の中からその一部を紹介すると以下のとおりです。

 (1)第48回地盤工学研究発表会・富山大会の開催
 本件については,既に11・12月合併号で紹介がありましたが,1年半前から北陸支部を中心に本部と一体となって準備を進めていただきました。
そして多くの困難の中でも,大変な盛会となりました。
北陸支部・本部の関係者と会員の皆様に,改めて感謝致します。
特別講演として国文学者中西進先生による「日本人が愛した大地」と題して地盤(大地)を中心とする自然との親和の中の日本人の生き方について講演をいただきました。
また展望では,電力中央研究所地球工学研究所長金谷守氏と京都大学防災研究所の中島正愛先生に専門的分野のお話を分かり易く講演していただきました。
なお中西進先生は11月に文化勲章を受章されました。
新しい企画としては「こども地盤学会」が地元富山県の小学生が参加して開催され,小学生とは思えないしっかりした内容で,砂防,地下水,地すべり,液状化,植生等の分野について発表していただきました。
子供の頃から,土・岩・地盤に興味を持ってもらうことは,今後の地盤工学を考えますと非常に重要です。

 (2)盛り上がってきた国際分野の活動
 東畑郁生地盤工学会副会長が,2013年9月,国際地盤工学会のアジア地区副会長に就任され,今後,地盤災害・地盤防災分野を中心にアジア各国と日本の連携を強める計画です。
また,昨年5月及び10月には,各々,第5回日中地盤工学シンポジウムが中国・成都で,第5回日韓地盤工学ワークショプが韓国・ソウルで開催され,今後の地盤工学の発展についても話し合われました。
一方2015年11月に第15回国際地盤工学会アジア地域会議(15ARC)が博多で開催される予定であり,中日にエンジニアリングセッションデイを設ける新企画も含め大谷順実行委員長の下,着々と準備が進められています。
また2017年9月には,韓国ソウルで国際地盤工学会議が開かれる事がパリ大会で決定し,ここ4~5年の間で,日本周辺で複数の大きな国際会議が開かれることになりました。学会としても,老壮青世代の地盤技術者・研究者の結集や産官学公の連携,そして若い世代の積極的参加を期待したいと思います。

 (3)他学会との連携
 日本学術会議においては,東日本大震災による大規模災害への対策や対応には,多様な研究分野の連携と融合が不可欠と考えています。
今回南海トラフに学界としていかに向き合うかというテーマで地盤工学会を含む28学会が集まり討議する場が設けられました。
地盤工学会は,日本学術会議の呼びかけに積極的に応じ,実際に社会・国民に役に立つ地盤工学の立場から,私もパネラーとして参加しました。
今後,複数の学会が力を合わせ各種の活動を進めることがより重要になるでしょう。

 (4)環境地盤工学の社会的かつ喫緊の課題への貢
 学会の社会貢献を考える時,東日本大震災による災害廃棄物・津波堆積土の処理・処分,分別,再利用,さらに放射性汚染土壌・廃棄物への対応の分野はまさに日本社会の喫緊の課題です。
本件に関しては,地盤環境研究委員会(勝見武委員長)に約60名の会員を集め精力的かつ積極的な活動がなされており,災害廃棄物の物性把握から始まり,焼却主灰再生資材の物性評価スキームの提示や公開,岩手県復興資材活用マニュアルの監修等で自治体・環境省に対し協力しています。

 (5)シニア・ベテラン会員も積極参加する学会活動
 地盤工学会の会員の中で60歳以上の方の占める割合は20%(約1700名)であり,学会としても,この方々の持たれている技術,体験,見識は学会の大切な財産です。
そして,シニア・ベテラン会員の技術,学識,体験を中堅,若手会員に伝達・伝承していくことは学会の大きな役割です。
その良い例として10月に開催された「地盤工学入門」講習会があります。本講習会では多くの元学会会長・副会長の方々を中心に講師になっていただき,各々の持たれている地盤工学に対する熱い思いまで会員に披露していただき,大変好評でした。
また,関東支部のGeo-Kantoでは,産官学のシニア・ベテラン会員が各々の体験を語る場や,石原・太田両先生を学生が囲んで率直な質問もする会も開催され盛り上がりました。本企画は,各支部でも実施できる催しです。
 地盤工学会の歴史を振り返ると,本年で創立65年になりますが,その創生期に多くの諸先輩の献身的なご尽力があり学会の礎が築かれました。
そして60年代から80年代の日本の高度成長期と合わせて学会は発展してきました。
会員数は90年代後半に13000余名がピークとなり現在は減少中ですが,必要以上に悲観的に考えることはないと思います。
そして,これまでの諸先輩に築いていただいた研究・技術成果を携え,新研究・新技術にも挑戦し国際的な対話の場で技術・研究をさらに発展させる時期でもあると考えます。
私は,技術雑誌・土木施工2004年9月号に土質力学用語も使った雑文「国際政治賢国のススメ―日本型成熟総合パワーの活用―」を寄稿しましたがその主旨を次に紹介したいと思います。
『日本の将来に対する悲観論が多い。やれ少子高齢化だ,もう日本のピークは過ぎた等である。しかし,私は悲観論には与しない。なぜなら国のパワーは物理的なGDPや人口だけで判断できないからである。もちろん現在の日本の政治,行政,諸制度等で直すべき所が多いのも事実である。国の力の評価指標は,21世紀ではGDPや人口も入るだろうが,ソフト・ハードのあらゆる総合力で表現すべきだし,国民の人間的賢さや国の政治的賢さは,経済産業のピークから1~3世代後,すなわち30~100年後にレオロジー的に出現する(タイムラグがある)と思うからである。21世紀になり,資源や地球の有限性,そして地球環境問題が認識されている今日,19~20世紀的観点のみで未来を予測することはできない。芸術・文化を含めた人間の幸福や本当の自主的な生き方,国の国際の場での政治的賢明さは,経済・工業のピーク時でもある成金の時代から成熟の時代になってはじめて本当の賢さが実現するのではないか,と思う。日本はこれまでの,即席ラーメン,カラオケ等,ユニークで役に立つ発明に続いて,現在,アニメやファッション,芸術やハイテクおよび環境技術で世界をリードしている。今後,対話としての国際平和活動等も加わり,21世紀,世界の人々の幸福に貢献できるパワーと能力が備わりつつある。要は,成熟の果実を賢く誘導し実力を発揮できるようにすることである。』。
本稿は約10年前述べさせていただいたものですが,現在も基本的認識は同じです。地盤工学会に対し諸先輩の方々に作っていただいた成熟の果実を有効に使わせていただき,新しい芽を育みながら世界に発信・発言することが重要です。

 

 以上,学会の現状,課題,注目すべき活動と地盤工学会も含め日本の成熟の果実を生かしつつ新しい事に挑戦する重要性について述べさせていただきました。
地盤工学会の活動は,紙面の都合でご紹介できなかったものも含めて社会に役に立ち素晴らしいということが,会長としての実感です。
これも,会員の皆様と一体となった学会の情熱ある活動があって初めて可能となる訳で,今後改革や活動に会員の皆様のご意見・ご協力を得て進めますことを誓い,年頭のご挨拶とさせていただきます 

 

ドクターモグの地盤工学教室

shunちゃんの模型実験動画

地盤工学開始学会誌 電子版

地盤工学研究発表会

ダイバーシティ促進のための会費減免措置

プレミアム(終身会員)制度

アカデミックロードマップ

地質品質判定士協議会

寄付のお願い

バナー広告募集中

地盤工学会Facebook

地盤工学会YouTube


〒112-0011 東京都文京区千石4丁目38番2号 [MAP]

・電話: 03-3946-8677 総務担当(代表) ・FAX: 03-3946-8678(代表) ・メール:mail  [連絡先詳細]