年頭の挨拶 2023

第37代会長
第37代会長  古関 潤一
     東京大学

 明けましておめでとうございます。令和5年(2023年)の新年を迎え,謹んでご挨拶申し上げます。

 昨年6月の総会で会長を拝命して以来,本原稿を準備している11月末の時点で5か月半が経過しました。

 この間の学会活動と学会行事への参加状況を少し振り返ると,昨年7月にはハイブリッド開催された第57回地盤工学研究発表会に新潟で現地参加いたしました。ご担当者の入念な事前準備と適切かつ慎重な当日対応のおかげをもちまして,3年振りの全国大会を現地で存分に楽しませていただきました。

 9月には「実務技術者のための,地盤工学会賞受賞技術・業績講演会」にオンライン参加し,令和3年度の技術業績賞および技術開発賞を受賞された技術や業績の詳細について学ぶ機会を得ました。

 10月には地盤品質判定士協議会および地盤品質判定士会の関係者と国土交通省を訪問し,盛土規制法に関連する技術関連基準の動向や地盤品質判定士制度の今後の利活用について意見交換させていただきました。

 11月には国際地盤工学会のバローズ会長によるハイブリッド形式での講演会に対面で参加し,とても気さくなお人柄と,世界を飛び回って学会運営に尽力される熱いお気持ちを目の当たりにすることができました。

 以上の学会活動・行事は,新型コロナウィルス感染の第7波が夏頃にピークとなり,これが一旦は収束しかけた後で再び第8波に入りつつある状況下で行われました。個人的には,対面で緊密な意見交換を行う重要性を再認識する一方で,完全オンラインあるいはハイブリッド形式で実施される講習会等に遠隔参加する便利さからもますます離れ難くなってきています。

 新年になっても予断を許さない社会情勢が続きそうですので,以上のような学会の諸活動の実施形態も含むウィズコロナ対応を当面は手探り状態で継続しながら,来るべきポストコロナ時代の社会を想定した準備も進めて参りたいと考えております。会員の皆様におかれましては,これらの学会の対応状況・方針に対して忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いです。

 なお,地盤工学会は2005年度に中長期ビジョンを策定しました。その後,2009年度には翌年に予定されていた公益法人化を前提として学会の目的と活動を明確にし,学会組織のありかたを示すとともに,3つに分類した活動領域について具体的な方針を明記する再検討を行いました。さらに,2017年度には,学会の組織や社会情勢の変化を踏まえて個別の活動目標を再定義するとともに,具体施策の検討・実施を担当する学会内組織を明示する再々検討作業を実施いたしました。

 2019年末から現在に至るまでの新型コロナウィルス感染症の流行は,各種の社会活動のありかたに多大な影響を及ぼしてまいりました。地盤工学会でも,前述した諸活動の多様な実施形態の導入とともに,会館内会議室の利用状況や事務局の業務担当状況が変化してきています。同時に,長期的な少子高齢化や社会構造の変化が,会員数や会員の年齢・職域・出身分野の構成率に影響を及ぼしてきています。そこで,これらの影響を確認しつつ中長期ビジョンを改めて見直す検討作業を2023年度に実施したいとも考えております。

 本年が会員の皆様にとって実り多く,健康で幸せな一年となりますことを心から祈念し,年頭のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。