地盤環境汚染対策の科学的合理性判定のための調査・試験・評価法に関する研究委員会

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委員会趣旨

地盤工学会では,1990年代後半より様々な地盤環境問題が顕在化してきたことを契機として,環境地盤工学に関する研究委員会が継続的に活動を実施してきた。地盤工学分野を中心に環境工学,応用地質学,土壌学といった幅広い専門分野の研究者,実務者が問題点や課題を共有し,その解決に資する学術研究を実施するプラットフォームとしての役割を果たしており,これまで12回に及ぶ環境地盤工学シンポジウムの担当委員会としての開催をはじめ,着実に成果を発信してきた。直近の「社会実装に向けた新しい地盤環境管理と基準に関する研究委員会」(20152018年度,委員長:国立環境研究所 肴倉宏史)では,再生資材由来の地盤材料に含まれる微量有害物質,および掘削土砂・ずりに含有される地質由来の有害物質の溶出挙動を主な対象とし,環境法令や各種試験結果,対象サイトの地盤条件を考慮・包含した各種材料の環境安全性の指標化を実施してきた。その成果は,試験方法の立案や改正の提案,地盤工学会基準や各種ガイドラインへの反映,ISOTCへの規格案の提示など「社会実装」を念頭に発信されており,「材料評価試験」のあり方や試験方法の提示という観点で有用な学術的成果を挙げてきた。

 一方で,関連する環境法令や公定試験法も学術的知見の発展に対応して近年改正が進められている。例えば土壌汚染対策法では「リスクに応じた規制の合理化」が新たな方針として提示され,対策の要否や対策完了の判断を評価地点における地下水中の有害物質濃度の評価・予測結果に基づいて合理的に実施することが求められる。しかしながら,この評価・予測においては依然として課題が多く,上記委員会での議論においても酸化還元条件や共存物質の影響,対策効果等の長期安定性など現行の材料試験のみでは評価できない要因を考慮するとともに,地質・地盤調査やモニタリングの適正な実施が不可欠であることを改めて確認している。また,社会にその内容を適切に伝える工夫と努力が必要であることも認識している。このような現状を受け,環境条件の変化が溶出特性や対策効果に及ぼす試験・評価方法の検討,物質移行評価や地球化学モデルを含めた安全性評価の高度化,地質・地盤調査法や環境モニタリング手法の再検討などの新たな課題の解決をはかるべく,上記研究委員会を本部委員会として設立することを提案する。具体的には,以下のようなワーキンググループ(WG)を設置する予定である。

  1. 試験法・環境安全性評価WG                   
  2. 地盤調査・モニタリングWG
  3. 地盤環境リスクの不確実性・社会啓発WG

[活動期間: 2019(令和元年)年度-]

委員名簿

2019年12月6日版

No. 会 務 氏 名 所 属
1 委員長 乾 徹 大阪大学大学院工学研究科
2 副委員長 保高 徹生 国立研究開発法人産業技術総合研究所
3 幹事長 加藤 雅彦 明治大学農学部
4 委員 伊藤 健一 宮崎大学国際連携センター
5 委員 稲垣 由紀子 国立研究開発法人土木研究所
6 委員 井野場 誠治 一般財団法人電力中央研究所
7 委員 井本 由香利 国立研究開発法人産業技術総合研究所
8 委員 遠藤 和人 国立研究開発法人国立環境研究所
9 委員 大嶺 聖 長崎大学大学院工学研究科
10 委員 大山 将 株式会社鴻池組
11 委員 大塚 義一 株式会社奥村組
12 委員 小川 翔平 一般財団法人電力中央研究所
13 委員 小澤 一喜 鹿島建設株式会社
14 委員 勝見 武 京都大学大学院地球環境学堂
15 委員 加藤 雄大 清水建設株式会社
16 委員 川村 功一 国際航業株式会社
17 委員 北垣 亮馬 北海道大学大学院工学研究院
18 委員 清田 正人 三菱マテリアル株式会社
19 委員 久保田 俊美 一般社団法人日本リスクマネジャネットワーク
20 委員 倉品 悠 株式会社奥村組
21 委員 小峯 秀雄 早稲田大学理工学術院
22 委員 肴倉 宏史 国立研究開発法人国立環境研究所
23 委員 阪本 廣行 株式会社フジタ
24 委員 佐藤 研一 福岡大学工学部
25 委員 佐藤 靖彦 西松建設株式会社
26 委員 佐野 豊生 基礎地盤コンサルタンツ株式会社
27 委員 品川 俊介 国立研究開発法人土木研究所
28 委員 鈴木 弘明 日本工営株式会社
29 委員 隅倉 光博 清水建設株式会社
30 委員 高井 敦史 京都大学大学院地球環境学堂
31 委員 龍原 毅 パシフィックコンサルタンツ株式会社
32 委員 土屋 秀二 応用地質株式会社
33 委員 鴇田 稔 株式会社アイコ
34 委員 中島 誠 国際航業株式会社
35 委員 中野 正樹 名古屋大学大学院工学研究科
36 委員 中村 和弘 飛島建設株式会社
37 委員 中村 吉男 愛知工業大学工学部
38 委員 成島 誠一 一般社団法人NB研究所
39 委員 成瀬 美樹 応用地質株式会社
40 委員 野口 真一 一般社団法人泥土リサイクル協会
41 委員 橋本 洋平 東京農工大学大学院生物システム応用科学府
42 委員 長谷川 亮 株式会社環境管理センター
43 委員 平田 桂 株式会社MCエバテック
44 委員 藤川 拓朗 福岡大学工学部
45 委員 三浦 俊彦 株式会社大林組
46 委員 前田 直也 中央開発株式会社
47 委員 水谷 聡 大阪市立大学大学院工学研究科
48 委員 水野 克己 一般財団法人地域地盤環境研究所
49 委員 門間 聖子 応用地質株式会社
50 委員 山田 優子 国際航業株式会社
51 委員 米田 英治 川崎地質株式会社
52 委員 渡邊 保貴 一般財団法人電力中央研究所
53 委員 木下 久美子 株式会社環境材料エンジニアリング