2024年度新設委員会委員の公募(4月17日締切)

公益社団法人 地盤工学会 調査・研究部

調査・研究部は地盤⼯学の発展を視野に,先駆的に克服すべき技術課題,緊急に究明すべき⼯学的課題等様々なテーマについて研究委員会を組織しております。さらにその他,活動資⾦の⼀部または全部を参加機関が分担拠出する公募型研究委員会,他機関から研究委託によって設置される受託研究委員会等を設置し活動しております。研究委員会は会員の自主参加の下に,地盤工学に関するテーマの研究・調査に積極的に取り組み,その成果を会員に還元しようとするもので,重要な学会活動の一つとして位置付けられています。
 今回は,2024年度に新設する研究委員会の委員を公募いたします。本委員会の活動期間は2027年3月までの3年間となっています。参加を希望する方は下記要領に従い,4月17日(水)までに応募してください。なお,応募者は本学会個人会員とし,同一年度での応募は1人あたり1つの研究委員会に限らせていただきます。

入会手続きは「申し込みと会費納入」が必要です。詳しくはこちらをご覧ください→入会について

※クリックすると 該当の項目までジャンプします。
◎委員を公募する委員会テーマと委員会発足の主旨
      極端降雨・巨大地震に対応した斜面防災対策研究委員会
      地盤工学におけるデジタルセンシング技術とその評価技術及び活用方法に関する研究委員会
公募する委員の会務と人数
委員の選定方法

応募方法

◎委員を公募する委員会テーマと委員会発足の主旨
委員会名 : 極端降雨・巨大地震に対応した斜面防災対策研究委員会
委員長 : 鈴木 素之(山口大学)
活動期間 : 2027年3月までの3年間
応募期限 : 2024年4月17日(水)
主旨  : 
近年の土砂災害は、自然斜面だけでなく、人手が加わった人工斜面(盛土、切土)で起こることが多くなっている。熱海市において、渓流に残置された“盛り土”が崩落して土石流化し、下流域で多数の死者・行方不明者が出た。また、神奈川県逗子市においては、マンション敷地斜面が崩落し、歩行者が死亡した。これらの斜面災害は身近なところで発生したので、社会に大きな問題を提起した。これより、大雨の頻度が増すにつれて、安全性がより求められる人工斜面において、大きな災害に至らずとも、変状や小崩壊が多発するようになってきたと言える。
盛土についてみると、2023年5月に「宅地造成及び特定盛土等規制法」が施行され、国土強靭化として促進されている大規模既存盛土の安全性調査が実施されている。盛土は、宅地盛土から道路・鉄道、河川堤防の盛土まで広く対象になり、管理者・所有者によってアプローチは異なり、関与の限界がある。また、大規模盛土造成地においては、降雨浸透時に加えて、地震時の安定性評価が重要であり、コストと時間がかかる。
また、切土についてみると、切土掘削後40~50年を経過した道路のり面において、のり面工・斜面安定工の劣化が進み、崩壊・地すべりに至る事例が出始めている。また、山間部を通過する道路・鉄道では、土石流や落石・倒木による災害リスクが高まっている。これらは地山の状態変化(地質リスクの顕在化)が影響していると考えられる。
 一方、これら人工斜面に対するメンテンナンスは、橋梁やトンネルのそれに比べ、広がっていない。劣化した吹付けコンクリートの剥落、のり面排水孔の目詰まりなどが全国的に起こっており、この先ますます増えるものと予想される。
今後、線状降水帯による極端降雨、南海トラフ地震等の大地震の発生による土砂災害の激甚化が危惧される。これより、安全性が追求される人工斜面に対して、技術上の課題を抽出・整理し、次の研究開発のベクトルを定め、斜面防災の機運を醸成する必要があると考える。しかしながら、技術力が自然外力に追いつかないだけでなく、技術者の不足も露呈してきている。そこで、斜面災害リスクの軽減を目的として立ち上げる新設委員会「極端降雨・巨大地震に対応した斜面防災対策研究委員会」において、主要な課題として次の事項に取り組む。

・ 人工斜面(盛土工、切土工)の劣化と崩壊、安定性評価、対策
    ※ 劣化には地質別の地山の風化変質、盛土内部の侵食による脆弱化などが考えられ、それらの解明が必要である。
・ 人工斜面(盛土工、切土工)のメンテナンス(点検、補修、長寿命化)と機能強化(耐災性の向上) 
    ※ 機能強化には気候変動を見越したロングスパンでの事前防災の検討が重要であると考える。
・ 斜面防災のための地盤調査・試験の改善
    ※ 宅地盛土内での地盤調査は振動・騒音・通行等の点で制約条件や配慮事項が多く、関係住民の理解を得ることは容易ではない。自然斜面のみならず人工斜面においても様々な条件下で工夫して調査を実施することが技術の基本である。その観点で実施された地盤調査・試験事例からノウハウを収集・整理し、会員に技術関連情報として発信する。
・ 斜面防災に資する技術者・研究者人材の育成と確保
   ※ 共通の経験知・ノウハウは組織(企業、学校等)を横断して伝承しておく必要がある。
・ 斜面防災技術の国際化
   ※ 諸外国でも斜面災害リスクが増大しており、日本の防災技術力を提供する機会が増えると思われる。研究成果を国際化しておくことは重要である。

応募方法へ

委員会名 : 地盤工学におけるデジタルセンシング技術とその評価技術及び活用方法に関する研究委員会
委員長 : 桑野 玲子(東京大学生産技術研究所)
活動期間 : 2027年3月までの3年間
応募期限 : 2024年4月17日(水)
主旨  : 
デジタルトランスフォーメーション(DX)を背景にして,様々な「デジタルセンシング技術」とそれによって得られる大量のデータを処理,評価する技術(ここでは合わせて「デジタル評価技術」と呼ぶ)を地盤工学分野へ適用する研究開発,技術開発が進んでいる。デジタルセンシング技術としては,例えば3次元点群データによる地盤施工出来形の把握,GNSSやSARによる地盤沈下の監視,画像とAIによる土質判定,比抵抗による地盤密度の連続計測,X線による地盤内の見える化,分布型光ファイバによる網羅的な地盤変位やひずみ分布の計測,等が報告されており,平行してセンシング技術をより多角的に活用するためのドローン,ロボット等のセンサ搭載技術も進歩しつつある。また,この種の技術の報告数も増加しつつある。一方,デジタルセンシング技術で得られる大量のデジタルデータを処理する手法についても, 3次元VR等のデータの見える化技術,BIM/CIM技術との融合,AI評価技術の利用による判定技術等の研究開発が進みつつある。
一方で,「デジタルセンシング技術」の客観的な精度や迅速性,さらにはその有効性,実用性については,これまで整理がなされているとはいえず,また,膨大なデータを扱う「デジタル評価技術」についても,合理的な工学的判断に資するための評価技術をどう確立し,活用していくかという課題については,未だ議論は緒についたばかりであり,地盤工学における今後の大きな課題である。
地盤工学は,本来 “不均質で見えない地盤をどう見える化し定量評価していくか”を大きな特徴とする工学分野であるが,新しい「デジタル評価技術」は,この地盤評価手法に大きな影響を与えるものであり,将来の地盤工学の発展を考えれば,その効果的な活用方法について議論することは避けては通れない課題であると考える。そこで本委員会では「デジタル評価技術」に興味のある地盤工学の研究者,技術者が一同に介し,その活用方法について議論することにより,将来の合理的な地盤工学の確立へ向けた端緒とすると同時に,関連技術の標準化に関する議論や共通課題に関するシンポジウムの開催等の活動を行っていく。
 なお応募の際には委員会で話題提供できる内容,議論したい内容,取り組みたい内容等について記してください。

◎公募する委員の会務と人数
研究委員会は,委員長,(副委員長/幹事長/幹事),事務担当幹事および委員で構成され,このうち委員を公募します。委員の方には,委員会発足後に決められる運営方針に従い調査,研究活動を行っていただくほか,成果の取りまとめ等にも協力していただきますので,実質的な作業負担が伴うことをご承知おきください。なお,委員の中より幹事を選出することもあります。公募人数については,研究テーマに関して会員に資する成果が上げられ,かつ委員会が円滑に運営されて,委員間相互で十分な意思疎通が図れる程度の人数とし,委員長と調整,決定するものとします。

◎委員の選定方法
委員長が候捕者を選任し、調査・研究部が決定します。

◎応募方法
下記応募フォームから必要事項を送信してください。期限: 2024年4月17日(水)
新設委員会委員応募フォーム

◎問合わせ先
地盤工学会 調査・研究部担当
03-3946-8673
kenkyu★jiban.or.jp ★→@